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web creators 2010年2月号

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さくらインターネット㈱が2009年12月10日から提供開始した「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」は、月額7,800円というコストパフォーマンスを実現したマネージド・サービスだ。この画期的なサービスについて、同社の開発部・開発第二チームのマネージャー、後藤正浩氏と、企画部・商品企画チームの天内雅晴氏にお話をうかがった。


取材・文=片岡義明、撮影=谷本 夏


後藤正浩 氏

さくらインターネット株式会社
開発部開発第二チーム
マネージャー
後藤正浩 氏

天内雅晴 氏

同社
企画部商品企画チーム
天内雅晴 氏



共用サーバ感覚で
リソースすべてを専有

「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」は、共用ホスティングサービス「さくらのレンタルサーバ」の使い勝手はそのままに、サーバ1台のリソースを丸ごと専有できるサービスだ。同さくらインターネット(株)では専用ホスティングサービス「専用サーバ」も提供しているが、root権限をユーザーが管理する「専用サーバ」に対して、「さくらのマネージドサーバ」はroot権限を共用サーバと同じくホスティング会社側で管理する。OSのアップデートやセキュリティ設定が必要な場合や、万が一の障害が起きたときなどは同社のエンジニアが対応するので、サーバの運用保守まで一括して請け負っているWeb制作会社にとっては、運用保守の手間の軽減につながる


独自開発の小型サーバで
高い収容数を実現

この内容で利用料は月額7,800円と、常識を破るような低価格を実現している。ここまでの低価格化は、一体どのようにして実現したのだろうか。
「『さくらのマネージドサーバ』の企画が持ち上がった当初は月額1万円程度を想定していたのですが、いかにサーバのコストを下げるか、ラックあたりの収容台数を増やすかを徹底的に追求し、目標よりもさらに低価格の月額7,800円を実現しました」と天内氏。サーバラック1Uを前後左右に4分割して4台のサーバを搭載する同社独自開発の“1Uクォータサーバ”に加えて、CPUには低消費電力プロセッサのインテルAtomプロセッサ330 1.6GHzを採用。サーバの小型化と発熱の軽減を図ることで1ラック当たり100台以上の収容数を実現した。
このようなコスト削減のノウハウには、1996年にサービスの提供を開始した長い歴史を持ち、「さくらのレンタルサーバ」で20万件のユーザー数を誇る同社ならではの技術が生かされている。
「すでに実績のある共用サーバ『さくらのレンタルサーバ』をベースに構築したサー ビスなので、安定性はかなり高く、安心してお使いいただけると思います」(後藤氏)


モニタリングツールや
ファイル共有機能も搭載

共用サーバの最上位コース「さくらのレンタルサーバ ビジネスプロ」と比べても、「さくらのマネージドサーバ」のほうはディスク容量が180GBと大きく、しかもMySQLデータベースの利用数に制限がない点も魅力だ。データベースを自分のサーバ内に置くことが可能で、共有型の共用サーバと違ってほかのユーザーの影響を受けることがない。安定したパフォーマンスを得られるのでECサイトの構築にも最適だろう。また、マルチドメインの設定数やメーリングリスト作成数も無制限なので、Web制作会社が、複数のクライアントごとにメールやドメインを設定したりする場合にも便利だ。
このような充実した内容にもかかわらず、コントロールパネルは共用サーバと同じインターフェイスを採用しており、専門知識がなくてもサーバの設定や操作が簡単にできる。さらに同サービス独自の新しい機能として、利用中のサーバ状況をグラフィカルに表示するモニタリングツールも提供。サーバの負荷を示すロードアベレージやネットワークのトラフィック、メモリの使用状況が確認可能だ。また、大容量ファイルを交換できるファイル共有機能も搭載している。
「無料のファイル送信サービスはセキュリティ面で不安に思うお客さまも多いので、このような機能を付けました。制作会社がクライアントと素材データのやりとりをする場合などにも便利だと思います」(天内氏)


セキュリティや
バックアップも充実

セキュリティも充実している。メールのウイルスチェックサービスは標準の料金に含まれ、オプション料金は不要だ。Webコンテンツのセキュリティ対策として標準提供となるファイアウォールは共用サーバで定評のあるシグネチャ型Webアプリケーションファイアウォール「SiteGuard」を標準で提供しており、Webサイトの問い合わせフォームやECサイトのアプリケーションへの攻撃を防ぐことができる。さらに共有SSLサーバ証明書も提供しているので、個別に証明書を取得する手続きが不要だ。
これらに加えて、標準で専用のバックアップサーバも用意しており、日次でバックアップを行っている。万が一、ディスク障害が起きた場合も同社のエンジニアの手によって速やかに復旧が行われるので安心できる。サイト運営に必要なものが一通り標準で装備され余分な手間や費用が発生しないのは大きなメリットだ。)


申し込み当日から利用可能
驚異の短納期を実現

もうひとつ注目したいのが、サービスを申し込んでから利用開始までの期間が短いこと。キャンペーンで急にサーバが必要になったときでも、すぐに使用できる。
「最短で申し込みの当日から使い始められます。弊社はデータセンター事業も行っており、そこでラックスペースを大量に保有していますので、サーバをすぐに追加できる体制が整っています」(天内氏)
データセンター事業を行っていることに加えて、長年のホスティング事業で培った技術を持つ同社だからこそ実現した、低価格で短納期が魅力の「さくらのマネージドサーバ」。「共用サーバに限界を感じてきた人や、専用サーバのユーザーで運用保守を外部に任せたいという人には、ぜひおすすめです」(天内氏)というように、幅広い層のユーザーが使えるサービスといえる。
現在は1プランのみの提供だが、今後はより高スペックのCPUを搭載したサービスの追加など、ラインアップの強化を図っていく予定とのこと。今後の展開が楽しみだ。


図1


図2


さくらインターネット株式会社
tel. 0120-775664
mail. support@sakura.ad.jp
www.sakura.ne.jp/managedserver/

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