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web creators 2010年2月号

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見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ


つねに新しい技術やサービスを生み出しながら、可能性を広げつつあるWebの世界。そんな中、インフラであるホスティングサーバには、いったいどのようなサービスが求められているのだろうか。ホスティングサーバ各社がリリースする最新サービスに焦点を当てながら、時代に合わせて進化するホスティングサーバの現状を追った。


文=片岡義明、中村 南



今月のラインアップ

見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ

ファーストサーバ株式会社

「@NextStyle 専用サーバーサービス」
株式会社ワダックス

「ドメインキーパー」

「CPI 専用サーバーマネージドプラン」
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ

「ドメインキーパー」

「PROX 『E-server』」
プロックスシステムデザイン株式会社

「ドメインキーパー」

「ドメインキーパー 専用サーバサービス『blue Box』」
株式会社ハイパーボックス



【見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ】
Vol.6 ―専用サーバ・スペシャル―


専用サーバ最新事情
―今、専用サーバを選択するということ―


従来は知識やコストの面で手を出しづらかった専用サーバ。しかし最近は低価格化やマネージド・サービスの普及などにより、プロジェクトの規模にかかわらず幅広い層が使えるようになりつつある。ホスティングサーバ各社がリリースした新サービスやリニューアルの状況を見ながら、専用サーバの現状について考えてみよう。



各社で低価格化が進む
専用サーバ


ここ最近、ホスティングサーバ各社において、専用サーバの新サービスのリリースや、メニューのリニューアルが相次いでいる。専用サーバは1台のサーバのリソースを占有できるというメリットがあるが、その運用や管理のためには専門知識が必要だ。コスト面でも共用サーバに比べて高価で、その上さらに運用コストも上乗せするとなると、小規模なプロジェクトでの利用は難しかった。
ところが、このような状況も今では変わりつつある。もっとも大きな変化は低価格化だ。たとえばプロックスシステムデザイン(株)が運営する「E-server」は、自社開発のサーバや自社回線、自社データセンターなどの強みを生かして、月額7,245円~という低価格で提供している。ほかの事業者もハードウエアのコスト低下などを背景に、次々とリーズナブルな価格を打ち出している【1】


専門知識が不要の
マネージド・サービスが普及


運用や管理についても、運用・管理を代行することで専門知識を必要としない「マネージド・サービス」を提供する事業者が増えてきた。これを利用すれば、セキュリティ対策やトラブル時の対応も事業者に任せられるため、クライアントからサーバ管理を一括して請け負っているWeb制作会社でも、本来の目的であるコンテンツ制作に専念できる。
マネージド・サービスは運用コストを伴うだけに、その分コストが割高になってしまう場合もあるが(株)KDDI ウェブコミュニケーションズの「CPI」が提供を開始した「専用サーバー マネージドプラン」などは、サーバの運用保守の費用も含めて月額28,350円~という低価格化を実現している【2】
このような低コストのサービスが登場する一方で、通常のマネージド・サービスをさらに内容を充実させていく傾向も見られる。たとえばGMOホスティング&セキュリティ(株)の「アイル マネージドサービス」は、2009年8月に「アプリケーション運用代行サービス」を提供開始した。これはサーバやOS、ミドルウエアだけでなく、Webアプリケーションや業務アプリケーションの運用までもアウトソースできるサービスだ。従来はSI会社が手がけていた領域にまで踏み込んだサービスとして注目されている【3】


サーバ管理ツールの充実で
一般ユーザーでも操作可能に


一方で、マネージド・サービスを利用しないユーザーでも専用サーバを自らの手で簡単に運用できるように、コントロールパネルなどの管理ツールを充実させる事業者も増えてきた。たとえば(株)ハイパーボックスが提供する「blue Box」では、Sun Cobalt互換の管理ツール「BlueQuartz」を搭載したサーバOS「TurbolinuxAppliance Server 3.0」を推奨している【4】。また、(株)ワダックスの「@Next Style専用サーバー」や(株)シーズの「シーズホスティングサービス」では、コントロールパネル「Plesk」を採用している【5】【6】
これらの管理ツールはわかりやすい簡単なインターフェイスを採用しており、サーバ管理者がいない場合でも、一般ユーザーがコマンド操作をすることなく、容易にWebサーバの立ち上げやメールの管理を行える。特に「シーズホスティングサービス」の「ライトマネージドサーバー」などは、「Plesk」でのサーバ管理に限定することで低価格化を実現している。OSのアップデートなどの複雑な操作は事業者側が管理しており、自由度は少ないものの、共用サーバ感覚で気軽に使える専用サーバという見方もできる。


仮想化技術を駆使した
クラウドサービスも登場


このほか、仮想化技術を使った拡張性の高い専用サーバも登場している。ファーストサーバ㈱が提供を開始した「ビジネスプラットフォーム・サービス」がこれだ。同サービスは、マイクロソフト㈱のWindows Server 2008に搭載された「Hyper-V」というミドルウエアを使用しており、CPUやメモリ、ストレージ容量などをデータの移行をすることなく簡単に変えられる。サーバの移行作業が必要ないので、キャンペーンやイベントなどを行うために一時的にリソースが必要なときでも、すぐに対応できるのがメリットだ。これはWebサーバだけでなく社内の業務アプリケーション用サーバなどにも利用可能で、“クラウド”を具現化した先進的なサービスと言える【7】
このようなクラウド化への流れが少しずつ強まっていくなか、マネージド・サービスの普及や管理ツールの充実により、今後も専用サーバ導入の敷居がますます低くなることはまちがいない。専用サーバはもはや特殊なものではなく、共用サーバから気軽にステップアップできるサービスとして、身近な存在になりつつあるのだ。


【1】「E-server」のWebサイト上では「安さの秘密」を詳しく解説している(http://www.prox.ne.jp/
【2】8プラン用意され、用途に合わせて幅広く使えるCPIの「専用サーバー マネージドプラン」(http://www.cpi.ad.jp/
【3】】アプリケーションの運用までをも代行する「アイルマネージドサービス」(http://managed.isle.jp/
【4】「Turbolinux Appliance S erver 3.0」を推奨する「blueBox」(http://www.bluebox.ne.jp/
【5】「@Next Style専用サーバー」ではコントロールパネル「Plesk」が無料で利用可能(http://www.wadax.ne.jp/
【6】低価格のマネージド・サービスを提供する「シーズホスティングサービス」(http://www.seeds.ne.jp/
【7】仮想化技術を使った新しい専用サーバのスタイルが登場した(http://cloudhosting.jp/



セコムとの提携で、
最高レベルのセキュリティ対策を実現

@NextStyle
専用サーバーサービス


URL:www.wadax.ne.jp/
株式会社ワダックス


ミッションクリティカルな
業務に最適

セコムトラストシステムズ(株)との業務提携による、高度なセキュリティ対策が特徴の「@NextStyle専用サーバーサービス」だが、セコムによる外部からの定期的なセキュリティ診断に加えて、不正侵入検知防御システム(IPS)を標準で採用。クラッキングやDoS攻撃の被害を、未然に防ぐことができる。また、オプションでWebアプリケーションの脆弱性診断サービスや365日体制でのWebサイト脆弱性診断サービスが提供されるなど、ミッションクリティカルなWebサービスの運用に最適といえるだろう。専用ファイヤーウォールやセキュリティアプライアンスなど、そのほかのセキュリティ関連オプションも豊富だ。
OSにも信頼性や安定性に定評がある商用Linuxである「Red Hat Enterprise Linux」が採用され、Red Hat社によるすばやいセキュリティアップデートを受けることが可能となっている。@NextStyleでは低価格な「エントリープラン」から「スーパーハイエンドRAIDプラン」まで6モデルが用意されているが、いずれも簡単な操作でサーバを管理できるコントロールパネル「Plesk」が標準で付属。Linuxの運用経験がないクライアントでも、手軽に専用サーバを利用できるのは大きなメリットだろう。


トラブルの原因までを
徹底して究明する

サポート面では、夜間や休日の対応も行うフリーダイヤルの電話窓口を設置。ユーザーが組み込んだWebアプリケーションに起因する技術的なトラブルの原因を徹底して究明し復旧してくれる。そのため万が一の際にも、トラブル解決に余計な時間を割く必要がなく、業務に与える影響を最小限にとどめることができる。
さらにサーバエンジニアによる24時間365日の有人監視を行う「フルマネージド・セキュリティパック」をオプションで提供。OSアップデートなどのセキュリティ対策を委託することも可能だ。
なお、いまなら専用サーバ全プランで、初期費用が50%OFFになるキャンペーンが実施されている。




豊富な機能と高スペックのサーバを
フルマネージで提供

CPI
専用サーバーマネージドプラン


URL:www.cpi.ad.jp/
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ


多彩なオプションと
強固なセキュリティを標準で提供

最大で2TBもの大容量ストレージと4GBものメモリを搭載するハイエンドなサーバ機が特徴の「専用サーバーマネージドプラン」だが、その名のとおりフルマネージでの保守運用を委託できる高セキュリティなサービスとなっている。専門エンジニアによる24時間365日の監視はもちろん、内部と外部のストレージを併用した二重のバックアップ体制(Managed PlanTM Securityプランでは標準)やホットスワップによる無停止のディスク交換に対応するなど、万が一のトラブル対策も万全だ。
さらに、上位プランでは独自のセキュリティポリシーを設定できる専用ファイヤーウォールや、ベリサイン社の専用SSLサーバ証明書が標準で付属するのも特徴といえる。加えて、アカウント作成からログ監視まで、Webブラウザ上から簡単に操作できる独自の管理ツールが付属するなど、専門の管理者がいなくても手軽に導入できるオールインワン型サービスといえるだろう。RAIDが標準で組み込まれたセキュアなサーバに、自由なカスタマイズを可能にするroot権限を与え、手ごろな価格で利用できる「セルフマネージドプラン」も提供されており、運用スキルや用途に合わせて選択できるのも大きなメリットだ。


複数台構成で
初期費用無料キャンペーン実施

サポート面では、HDI-Japanが実施するサポート窓口の格付け評価で最高ランクの「★★★トリプルスター」を獲得。テストサーバの提供や訪問コンサルティングによるサーバ構成の提案など、導入にあたってのサポートも手厚い。またマネージドプランを対象に、新サーバへのコンテンツの移行やメールアドレスの登録、DNS情報の変更などすべてを無料で代行する「らくらくサーバー移転代行サービス」が提供されており、大幅に手間を削減できる。
なお2009年12月1日から、新たに複数台構成への対応を開始した。すべての専用サーバプランから、自由に組み合わせての導入が可能となっている。期間限定で、複数台契約時に初期費用が全額キャッシュバックされるキャンペーンも実施されており、コストパフォーマンスの面でも注目したい。




オリジナルマシン採用で、
高いクオリティと低コストを両立

PROX 「E-server」

URL:www.prox.ne.jp/
プロックスシステムデザイン株式会社


スモールスタートに最適な
月額7,245円のプラン

自社データセンターでの運用やオリジナルマシンの採用による徹底したコストダウンを実施するPROXでは、1GBのメモリに320GBのHDを搭載したサーバ機を利用する専用サーバサービス「E-server」の標準プランで、月額7,245円という低価格を実現。RAID構成のサーバにアップグレードしても月額8,295円と、手軽な価格が魅力となっている。そのため、事業の立ち上げに余分なコストをかけず、スモールスタートでWebを開始したいクライアントにも最適だろう。
また、高度なWebサービスに対応可能な上位プランの「E-server Advance」、「E-server AdvanceEX」(いずれもハウジングサービス)が提供されており、DMZによるセキュアなネットワークの構築やロードバランサを利用した複数台構成などへのステップアップもスムーズに行えることから、将来的なシステム拡張にも不安はない。ハウジングサービスながらサーバ設置からOSのインストールまでをPROXが担当しており、データセンタ入室といったハウジングの利点はそのままに、専用サーバサービスの「E-server」と変わらない使い勝手で無料運用サポートが利用できる点もユニークだ。


12年の運用実績が裏付ける
高い安定性と無料運用サポート

もちろん、セキュリティやシステムの安定性においても充実しており、すべてのプランで高い信頼性を誇る「Red Hat Enterprise Linux」を無料でインストール。ウイルスやSPAMメール対策、リモートバックアップなど、サーバ運営を支援するオプションが豊富に用意され、ミッションクリティカルな業務に最適といえる。
ドメインのセットアップなど基本的なサーバ設定が契約時に無料で実施されるほか、SSLサーバ証明書やバーチャルドメインの設定など、各種作業の代行やセキュリティアップデートを低価格で提供。専用サーバ導入につきものの、余計な手間がかからないのも「E-server」の特徴で、めんどうなサーバの引っ越しもドメインやSSLサーバ証明書を含めてサポートしてくれるので安心だ。申込前にサーバを無料で試用できるのでスタッフに相談するとよいだろう。




バリエーション豊富なサービスメニューと
徹底したサポート品質

ドメインキーパー
専用サーバサービス「blue Box」


URL:www.bluebox.ne.jp/
株式会社ハイパーボックス


デュアルコア以上の
ハイスペックなサーバを採用

トラブルシューティングや運用保守相談に限らず、同社が提供するあらゆるWebアプリケーションやサービスに関する無料サポートを24時間365日、電話とメールで実施するなど業界をリードするサポート品質で知られるドメインキーパーだが、専用サーバサービス「blue Box」では、ハイスペックかつ低コストなラインアップにも注目したい。
たとえば「スタンダード」と位置づけられている「SV-3000シリーズ」では、すべてのモデルが全サーバがデュアルコア以上のCPUを採用しており、RAIDが標準となっている。上位プランの「SV-5000シリーズ」では2CPU搭載モデルや、耐障害性に優れたRAID 6採用(2台のHDDが同時にクラッシュしてもデータを復元できる)モデルが提供されるなど、ハイエンドな用途に対応できるバリエーションの豊富さもポイントといえる。ハードディスク容量やメモリ容量、OS などをニーズに応じて自由に選択できるため、コスト削減効果も高い。


10Mbpsの専有回線を
月額1万500円で

また接続回線に関しても、低価格で高品質な国内回線を利用するだけでなく、10Mbps の共有回線(標準)から100Mbps専有回線までを幅広く提供。アクセス増に合わせた段階的な増強をスムーズに実施できる。なかでも10Mbps の専有回線は月額1万500円という低価格で提供されており、リッチメディアを含むWebサイトでも安定した運用を実現できる点が魅力だ。
運用保守サポートも充実しており、24時間の監視と障害時の一次復旧を行うサービスはもちろん、メンテナンス・保守・運用サポートから障害原因の簡易調査まで含むフルマネージドサービスもオプションで提供されている。加えてメールサーバやWebサーバの設定、ファイヤーウォールのポリシー設定といった設定作業のほか、不正侵入に起因するサーバ障害の対応など、運用保守オプションなどを契約していない場合でも個別にサーバ作業を依頼できる点が特徴だろう。休日や深夜帯など、作業タイミングを指定できる「時間指定」サービスも便利だ。




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